BPMはKPI管理の道具ではない~改革人材を育成し変化に強い企業を作る~

 今回も、経営層にも読んでいただくことを意識して書いてみます。
 BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)は大きな分野としてはITになります。私の書籍「業務改革、見える化のための業務フローの描き方」も「電子通信」という分類の中に入っています。BPMNが作られた経緯から言っても間違いではないですが「システム開発」ではありません。システム開発はBPMにおいて「作業の自動化」のためのパーツの作成でしかありません。パーツの作成を目的化させるのはBPMではありません。
 またBPMはKPIなどの数値で管理する(される)ための道具では無く、BPMはBPMNとBPMSを使った「改革人材を育成し変化に強い企業を作る」手法であることを述べたいと思います。

目次
1.業務フローを描くだけでは意味がない
2.数字ではなく人が会社を変える
3.まとめ

1.業務フローを描くだけでは意味がない

 セミナーで「BPMN図(業務フロー)を描くと何か業務の課題が発見できるというようなしくみがある、というようなことは無いですよね」と質問をされることがあります。「はい、無いです。ただし、正しく描くことで、その読みやすさから議論が進み、業務の課題が整理できます。」と答えます。課題を整理して課題解決後のBPMN図を描いただけでは『絵に描いた餅』でしかないです。
 業務改善を含んだBPMN図通りに業務を行うためにはBPMSが必要です。BPMSに正しいBPMN図が実装されたものを我々は「動く業務マニュアル」と呼んでいます。BPMSを使い、画面に表示されている指示に従い業務を行うことで効率の良い業務が標準化でき、かつ業務記録が残っていきます。自動で残る定量的な記録、人が書くことで残る定性的な記録の両方が蓄積されます。蓄積された記録から更なる改善が行われるということでPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルが回ることになります。
 業務フローを描くと改善できた気分になりますが改善は実現できないです。すなわちPDCAが回る改善のインフラとしてBPMSが必要になります。

2.数字ではなく人が会社を変える

 BPMのコストダウン以外のメリットとして「BPMSの画面を見て誰でも同じように業務ができるようになる」という属人化を解消し標準化が実現します。それは誰かに委託して行うのでは無く「自分たちの業務を自分たち自身で改善できるようになる。」ということです。実務者自身がBPMN図を描き、BPMSに実装して業務を改善できるようになります。
 「KPIなどを設定し結果を報告させる」としてもKPIを計測する術も、目標を達成させる術も実務者に「丸投げ」では組織は強くならないでしょう。そこに発生するのは「短期的な数字のゴマカシ」です。なぜ、そのような数字になったのか検証することはできない、または検証するのに大変な時間がかかる。そしてKPIを達成できている報告が、ほとんどなのに会社の収益には何も反映されない。ということになっていないでしょうか。それでデータが拾える、分析できるようにするためだけにIT投資をするのは術中にハマっていると言えます。手段が目的化されてしまっています。KPIなどの数値が正しく把握できるようにするためにIT投資をする。その目的はなんでしょう。数値が測れれば会社は改革されるのでしょうか。
 経営陣、上層部が行うのは「環境づくり」です。ただ座学でローコード開発ツールを勉強させたから「リスキリング」などと言っていないでしょうか。上司、上層部は「リスキリング研修」を受けた部下の人数を目標管理しているからでしょう。研修が必要ない、ということを言っているのでは無く、それだけでは企業変革は生まれないでしょう。
 改善のPDCAサイクルを回すことを実践しなければなりません。そのために、どのような環境が必要なのかを考えるのが経営陣、上層部の役割です。
※ChatGTPに絵を描いてもらいましたが、イマイチですが雰囲気は伝わるかと(笑)

3.まとめ

 BPMN図を描いてBPMSに実装して「動く業務マニュアル」を作成しPDCAサイクルを回すという実践こそが人材育成です。実践をせずに机上の空論では人材は育成されません。空論には「成功」も「失敗」もないからです。
 先日「ウチの組織は改善風土がないので研修から入っている」と言われたお客様がいましたが(「ウチの会社は特殊です」は言い訳の常套句で何千、何万という企業が同じことを言っています。)私は研修だけでは「時間とお金のムダ」だと思います。研修を受けることが目的になり、受けたことでの実践が伴わないからです。「空論」で組織風土が、よりよく変化したという話を聞いたことがありません。研修を受けた直後は、わかった気がして「がんばろう」などと思っていても3日もすれば忘れてしまい、今までと同じ仕事をしている。というのが座学研修だと思います。
 スポーツで例えれば、理屈や正しいフォームが頭でわかっていても実践しなければ身に付かないのと同じです。実践の場がなければ研修など意味がないでしょう。失敗しても良いので(なるべく、しない方が良いですが)実践することが大切です。失敗からは必ず学ぶことがあるからです。失敗を恐れずPDCAサイクルを回し続けることこそがBPMであり、BPMを実践することで改革人材が育成されるでしょう。

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