テレワーク、BPOにおけるBPM改善のヒント1

 BPMS(BPMSとは参照)には、大きく2つの機能が有り、BPMを実現するための本来の機能に関しての説明が少ないことを「BPMとは」で書きました。BPMNとBPMSは車の両輪であるということも、随所に書いてあると思います。
 では実際に「どのような改善ができるのか」そのためにBPMNやBPMSがどのような役割(機能)を持っているのかを具体的に示していきたいと思います。今回は改善のヒントとなる第1回目です。抽象化を避けるために、文字を減らして具体的な画面や図で説明をしていきます。

目次

1.業務指示と業務分担の問題
2.個人とグループ(組織)に割り当てられる業務(タスク)
3.まとめ

1. 業務指示と業務分担の問題

 属人化は「業務指示」と「業務分担方法」が根本問題である事例が多く見受けられます。例えば、高スキルの人から単純業務を引き剥がそうとしても、業務指示や分担を決めるという業務をやっているのならば「自分でやった方が早い」ということになるからです。口頭での指示は間違いの原因を生むことも多いです。BPMコンソーシアムで実際に使用しているプロセスを使って説明をします。

2. 個人とグループ(組織)に割り当てられる業務(タスク)

 BPMSのポータルには、大きく2つのリストがあります。個人に割り当てられた業務(タスク)リストとグループ(組織)に割り当てられた業務(タスク)リストです。BPMS上では以下の図のように区別されています。特にグループに割り当てられたタスクは、グループの中の誰かにやってもらいたい業務です。グループの中の誰かが、自分で引き受けます。よって業務の分担は自然に行われることになります。グループに割り当てられたタスクを引き受けると自分(個人)の業務になります。最初から自分のタスクというものもあります。

この2つのリストには、どうやって振り分けられるのかはBPMN図によって決められています。下図の赤く囲ったレーンはグループで行う業務です。このレーンにあるタスクがBPMSで起動されるとグループに割り当てられた業務になります。BPMSではレーンにグループに属している全員が登録されるように設定します。グループの全員のポータル画面に、このタスクは「引き受けを待っている業務」として表示されます。下図では「セミナーをHPに掲載する」タスクになります。

このプロセスは誰かの指示によって開始されていません。カレンダーソフトのリマインドメールがBPMSに届くことで自動で開始されます。「セミナーをHPに登録する」業務が終了すると、それぞれの担当者に業務指示が自動で行われます。

3.まとめ

 今回のヒントは、業務の指示を自動化し作業分担が自然行われるようにするというBPMの基本的な改善の話でした。これは単純ではありますが、BPMの本質の例、ヒントです。
BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)をしたいと思っている組織は多いと思います。しかし、どうやって業務の受け渡しをするのかという問題があります。よってアウトソーシングできる業務というのは、会計、経費処理、給与計算などまとまった業務に限られているのではないでしょうか。テレワークにおいて業務指示をメールや電話で行うと業務が煩雑となり間違いの原因になります。また進捗が見えません。

これから数回のコラムでは、コンソーシアムのセミナーの中でも様々な質問、疑問を持たれたことについて書いていきたいと思います。
Q「業務指示や業務をするのにBPMSをいちいち使うのか。」→A「常にBPMSを使います。」
Q「業務指示の内容というのは、どのようなものか。」→A「今、あなたが人に対して行っている業務指示そのもの。」
Q「BPMSを使うと、業務監視をされるのではないか。」→A「一挙手一投足をBPMで管理しません。ホワイトカラー業務の標準化は製造現場と異なり業務粒度が違います。」
・・・・・などなど、具体的な事例で書いていきたいと思います。

海外のある企業は、すべての業務をBPMSを使いコロナ騒ぎの前からテレワークが実施されていたそうです。業務全体を常に見渡すことができ、誰が何の業務を担当し、進捗を見える。その会社に慣れてしまった人は「言った→聞いてない」「指示した→やり忘れた」「誤解」「メールを読み飛ばした」などの問題から解放されるのでストレスが減ると同時に効率的に業務ができる。ということでした。製造現場では世界共通の「カイゼン」という言葉を生んだ日本が、ホワイトカラー業務で遅れを取っていることは非常に残念なことです。