BPMNとは

 

 BPMNとは、ビジネスプロセス・モデルと表記法(Business Process Model and Notation)の略です。現在のバージョンが2.0になります。マルチベンダーで構成されているOMG(Object Management group)によって維持されている国際標準(ISO19510)です。
 ビジネスプロセス・モデルとは、いわゆる「業務フロー」です。過去、業務フローは様々な描き方がありました。IT系の企業やコンサルティング会社が基準を定めたものなどが存在しますが、国際的に基準が明確なものはありませんでした。BPMNは単に標準化された業務フローということではなく、BPMにおいて(「BPMとは」も参照してください。)業務改革・改善に無くてはならないものです。このページではその意味を説明します。

目次

1.BPMNの特長
2.BPMNの記号
3.読みやすいBPMN図のポイント
4.BPMNとBPMの関係
5.まとめ

1.BPMNの特長

BPMNには大きく4つの特長があります。
・ 実務担当者が理解しやすいものであり、かつ、システム・アプリケーション開発者にも必要な意味を伝えることができます。
・ BPMNで正しく書かれた業務フローは「誰が読んでも同じ意味として伝わる」ため、共通言語的に使用できます。
・対象プロセスを階層化させて描くことができます。(上位階層は網羅的に、下位の階層は詳細に描くことができます。)
・実務担当者が考えた業務プロセスがBPMS上で、そのまま動き「見える化」された管理ができます。 (「BPMSとは」も参照)

2. BPMNの記号

 BPMNは、以下の4つの記号を基本として表記されます。

 トリガーを表す「イベント」、業務内容を表す「アクティビティ」、分岐条件を示す「ゲートウェイ」 それぞれの記号を繋いで実行順序を示す「シーケンスフロー」です。これらの記号の中のアイコンが追加されるなどで、それぞれの意味が変化します。BPMNはその種類がたくさん存在するのですが実際は、すべての記号を使用することはありませんし覚える必要もありません。またBPMSもすべての記号に対応していません。「BPMとは」で説明をしているレベル1、2というBPMN図の詳細度を表す基準があります。BPMN全体の記号に対して、レベル1では20%弱、レベル2でも50%程度の記号しか使用しません。レベル2の中であっても使い道が限られている記号(すなわち、ほとんど使わない)、別の記号で同じ意味を表すことができるために使わない記号も多数含まれています。すなわち、単に記号の意味を覚えるのではなく、BPMNの記号で誰でも読みやすく描くことと、そのままBPMSの実装に耐えられる業務フローを描く記述テクニックが重要なのです。

3. 読みやすいBPMN図のポイント

 読みやすいBPMN図は、ラベル(文字)を上手に使用することです。「BPMNメソッド&スタイル」(日本語版は絶版)を書いたブルース・シルバーは、「スタイル・ルール」の中に ラベルを使ってわかりやすいBPMN図を描くためのルールを定めています。「業務改革、見える化のための業務フローの描き方」 は、このスタイル・ルールをベースに記述されています。以下の業務フローはそのルールに沿って書かれたBPMN図です。BPMNの描き方や記号の意味を知らなくても内容を理解できると思います。

4. BPMNとBPMの関係

 BPMとBPMNの関係はBPM導入のステップにおいて説明をしています。一度きりの業務改善(BPR)やシステム導入のための業務フローにはBPMNは、必ずしも必要はありません。 BPMSを使って業務改善のPDCAサイクルが回らないのであれば、その場限りで理解できるの業務フローで構わないと思います。ただしBPMSと同じような機能を持つシステム(案件管理システム、インシデント管理システムなど)の導入の検討にはBPMNを描いて整理することは有用ではあります。それはBPMNの特長の一つである「実務担当者が理解しやすいものであり、かつ、システム・アプリケーション開発者にも必要な意味を伝えることができる。」という特徴からです。しかしながら、これはBPMではありません。「BPMN・BPMSが無くてもBPMはできる。」と言われる方がいるのですが、それはBPMではありません。単なる案件管理型システムの開発または導入でしかないです。なぜなら、BPMにおいて最も大切なのは「ビジネス知識の再利用」(「BPMとIT」を参照)であるからです。ビジネス知識を再利用するためには標準化された業務フローの表記法であるBPMNが必ず必要になります。我流で描いた業務フローは再利用・維持ができません。しかし標準化されたBPMNであれば業務フローは継続的に維持できるわけでもありません。そのためにはBPMSが必要になるのです。すなわち、BPMにはBPMNとBPMSは必須アイテムであり、どちらも欠くことができません。

5.まとめ

 BPMには様々な誤解があります。BPMNに関係する誤解は「BPMNはBPMSを動かすための記号」という認識です。すなわちプログラミングの代わりにBPMN図を使うという誤解です。BPMNでプログラミングレベルの表記をすることはできますがBPMSに実装しても意味がありません。
 過去、あるエンジニアがこの誤解からBPMN図でフローチャートのようなものを描かれていました。「これをBPMSに実装したのだけれど、自動でコーディングされる部分が少なくて結局プログラミングをしなくてはならない。BPMN、BPMSって何のためにあるんですか?」と聞かれたことがありました。描かれたBPMN図はBPMが対象とする階層とは異なる、ということを説明しました。
 プログラミングの階層はBPMN図で描く最下層の階層よりも下になります。すなわちビジネスプロセスを管理する部分ではないということです。そこは単なる作業の自動化の階層となります。RPAでも同じことが言えます。RPAの対象を見つけるためにBPMN図を描くという話を聞きますがRPAで実施することをBPMN図で描くことに意味がありません。またBPMN図を描いてもRPAの対象が必ず見つかるということもありません。BPMN図を描き、BPMSに実装すると自動化の要求が出てきます。BPMSを使用していることによって対象業務の実績工数が見えるため、自動化による期待効果が明確になります。自動化を実施する手段としてRPAが使えるかもしれません。ただしBPMSにもローコード開発機能があり、システム間の連携層を持っているものも多いためRPAという不安定なツールを使う可能性は恐らく低いかと思います。(「RPAを使うために何かをする。」という思考そのものが手段を目的に変えてしまっている感があります。)
 「可視化」に関しても同様であり、業務フローを描いたので可視化ができたわけではありません。その業務フローは1-2年もすれば使い物にならなくなるでしょう。BPMNとBPMSで 「ビジネス知識の再利用」が可能な状態に保つこと、それが内外の環境変化にすぐに対応し継続的な改革・改善ができることがBPMであると思います。