BPMの「できない理由」は「できるヒント」
一般社団法人BPMコンソーシアム 代表理事 山原雅人
セミナーでのアンケートで、さまざまな「できない理由」が書かれています。多くは「ウチの組織は、このような事が実施できるレベルではない」「ウチの会社では抵抗勢力がいるので難しいと思う」「経営者を説得するのが難しいと思う」「実務者にBPMN図を描いたりBPMSの実装をしてもらうのは難しいと思う」といったコメントが多いです。
そういったコメントを読むと、私は「あなたは何を目的にセミナーに来たのでしょう」と思います。世の中でDX、DXと言っているが、業務改革や改善が「業務フローを描くだけで簡単にできるとでも思っているのか」と思います。「自分達は苦労せず、だれかに簡単にやってもらう。」という考えから、ムダで多額のIT投資などが行われる。経営改善できないとリストラをする。この失敗を際限なく繰り返して日本をダメにしてきたのではないのかと思います。
今回はBPMに限らないことですが、企業、組織を変革させようというときの「できない理由」例から、どのように克服し「できる」ようにするのかについて述べてみたいと思います。
目次
1.足をひっぱる人(抵抗勢力)は必ずいる
2.理屈が明確であること、曖昧なことを言うべきではない
2.味方、理解者を増やす
3.まとめ:正直であることが正しいとは限らない
1.足をひっぱる人(抵抗勢力)は必ずいる
「足をひっぱる人は必ずいる」と考える必要があります。それに対して「心と頭の準備」をしておく必要があります。まず「心の準備」ですが感情的にならないことです。多くの人は現状が居心地がいいので、その仕事にどんなにムダが含まれていても「今まで通りでいたい」と考えます。自分は苦労したくないからです。この人たちは理論では絶対に論破できないので感情的になると心が疲れます。本人が取り残されたことに気が付くのを待つしかありません。取り残されていくように外堀を埋めていくことを着々と実施することです。
2.理屈が明確であること、曖昧なことは言うべきではない
「頭の準備」は何を質問されても、論理的に筋が通った説明ができる準備をしておきましょう。答えられないことが発生したときに論点をすり替えたり、一般的に使われないカタカナ英語を使って意味不明なことを口にするのはやめましょう。「すみません。その点はどうすればいいのか、今はわかりませんが考えます。」と言った後、死ぬほど考えて明確な答え、方法論を準備すべきです。ゴマカシは必ずメッキが剥げます。自分が言っていることに矛盾が発生したとき誰も信用をしてくれなくなるでしょう。
「実務者にBPMN図を描いたりBPMSの実装をしてもらうのは難しいと思う」に対しては、BPMの改善ステップの4、5を体験することで実務者でも実装が可能になります。しかし、これからすべての改善プロセスにおいてBPMの改善ステップ5において「実務者が実装作業を必ずやらなくてはならない」という意味ではないです。実務者が主体に考えて自分でも実装できるけど「単純な実装業務は誰かに委託する、誰かにやってもらう。」ということはあるでしょう。BPMN図とプロセスデータ関連表があれば、少し勉強すればパート、アルバイトでも実装できることです。実務者がBPMSの実装方法を知らないのでIT担当やパート、アルバイトに指示ができない「ブラックボックス」にしてはならないということです。
3.味方、理解者を増やす
BPMは実践すると意味がわかります。実践することで「いいね」をもらい、味方や理解者を増やす必要があります。そのため、小さくても「実践」がどうしても必要です。実践は失敗を繰り返しても許される企業環境、風土ならば、何度も実践し失敗し学びましょう。失敗が許されないのであれば正しく実践できる人に支援を得ましょう。このときに経営コンサルやIT系企業を頼ってはいけません。BPMでは無い別の道に導かれて多額の費用がかかって失敗してしまうからです。「これってBPMなの?単なるシステム開発じゃない」って話にならないように気をつけましょう。
4.まとめ:正直であることが正しいことではない
世の中には「老害」があります。これから10年でITシステムに関連する老害は激減するでしょう。2000年問題から始まったERP(業務統合パッケージ導入)ブームで大失敗プロジェクトを経験したことがある世代が経営層になっていくからです。この経験を35歳でした人は60歳になります。すなわち「大手SIerに任せておけば大丈夫」などと言っていた世代が消えていくからです。しかしながら、今はまだ過渡期です。いまも実質では無くブランドに心惹かれる経営者がいるのも事実です。
次世代の人が、そういった老害に対抗するには残念ながら詭弁を弄する必要があります。企業、組織を本当に良い方向に向けていくためには、2年の任期しか考えていない人に任せていると右往左往することになります。10年、20年先を考えている若い世代が「下から動かさないと変わらない」ということです。そして上の人は下の人達の言うことを真摯に受け止めてほしいと願うばかりです。これを夢物語だという人がいます。その人は不幸な組織にしか所属していなかったのか、バブル崩壊後の日本しか知らないからでしょう。
現実が違うからといって嘆いていても何も変わらないです。変えるために何をするかを真剣に考えて行動することだと思います。BPMはそのための手法です。

