第1回:2023年セミナー参加者の声(BPM入門 基礎知識+事例セミナー編)

  昨年(2023年)、BPMコンソーシアムのセミナーにご参加いただいたのは、延べ257人になりました。2022年が延べ187名だったため137%と伸びました。しかし、まだまだBPMの正しい認知度が低く、業務フローを国際標準のBPMNで描くことがBPMだと思っている方が多いと思われます。BPMNの「M」は「モデル」、BPMの「M」はマネジメントです。この違いを「入門 基礎知識+事例セミナー」(以下「入門セミナー」)で理解された受講者が最も多く、次に「BPMSが何たるかを知ることができた」という声でした。
 これらの内容をもう少し詳しくまとめ、述べてみたいと思います。

目次
1.BPMを理解することができた
2.さまざまな声
3.BPMSが何たるかを知った
4.まとめ

1. BPMを理解することができた

 BPMはビジネスプロセス・マネジメントの略であることは、ご存知だと思います。しかし「M」がマネジメントであるということは、余り意識されず理解をされていない方が非常に多いと感じます。恐らく「DX」と同様にボンヤリとした概念だと思われている方が多いと思われます(ここは後述します)。
 入門セミナーの序盤に「BPMはマネジメント手法です」とお伝えしています。中盤で抽象的な手法の説明の後に、終盤では事例で、その手法でどのような業務改善が実現するかを説明しています。手法ですので概念ではありません、「目的」が明確にあり「手順」があり「手段」があります。
 入門セミナーを受講された方で最も多いのは、それが理解できたという声です。

具体的には以下です。
・BPMの内容を初めて聞いたので新たな発見を得られた。
・BPMの知識なしで参加したため、BPMでの改善方法を知ることができた。
・業務をBPMNで可視化、標準化後、BPMSに実装し、実行したデータを蓄積することにより課題の発見につながることが理解できた。
・「PDCAサイクルが回るBPM」で説明されていたステップにて、どのステップを誰が担当すべきかは大切だと思いました。
・事例があった事で理解が進みました。
・正直なところセミナーには能動的に参加したわけではなく、BPMの何たるかをあまり知らない状態だったのですが、本日のお話しを聞いてBPMに興味が湧きました。概要や自分のやるべきことが明確になり参加してよかったです。
・BPMNがフローとしての記述方法、BPMSはそれが記載できるシステムくらいのイメージでしたが、BPMS(システム)を活用していくことでBPMN(フロー)が改善されていくことが重要だと理解しました。
・単に業務フローの可視化ツールと思っていたが運用ツールであり、機能が万能だと理解が改まった。

2.さまざまな声

 「BPMには、いろいろな流派がある。」と言われたことがあります。私は「そんなものは無いですよ。PDCAが回るBPMを実践すれば多少のやり方は違うにしても手法は1つです。間違ったBPMというのはありますが・・」と答えました。セミナー・研修だけで実践経験がない人は、いろいろな「言葉」と組み合わせて「オリジナル(?)」の「概念」を作られているのかもしれません(それが流派なのでしょうか)。しかしながらBPMは概念ではなく「手法」です
 「BPMNメソッド&スタイル」の著者、ブルース・シルバーの言葉を借りると「あなたが明確に意図した意味を表現したダイアグラム(プロセス図)を作る過程を実際に経験することによってのみ、真のBPMNを学ぶことができます。本書はあくまでも参考書であり実際のBPMNトレーニング(OJTなど)に代わるものではありません。」とあります。これはBPMにおいても同様であると思います。「実践を伴うことによって学びがある」ということです。BPMコンソーシアムのセミナーは、我々がお客様を実践支援した経験から情報が付加されて変化しています。それぞれの企業、組織ごとに同じ手法でも経験による「学び」があるからです。
 お客様自身の力だけではBPMを正しく導入することが難しいのが実態です。そこでIT部門が主導でのBPMでは従来のシステム開発のようにBPMSに関係するシステム会社(システムベンダー、SIerなど)を頼りにするということをしてしまいます。しかしシステム会社は従来のシステム開発手法(アジャイルも含む)の中で「BPMNやBPMSを無理やり使う」ということでBPMとしているようです。言い換えると「手法など関係なくBPMNとBPMSを使えばBPMだ」という乱暴な話です。そして、そのシステム会社の開発担当者から「何でBPMNが必要なのか、わからない」「BPMSじゃなくて他の開発ツールの方が使いやすい」という発言を聞くことになります。気が付くとBPMでは無くPDCAが回らない、単なる1度だけのシステム開発(BPR)になっている。という過去の失敗事例が多いと思われます。BPMはシステム開発ではないので「システムが動いているから成功」ではありません。BPMはマネジメントですのでPDCAサイクルが回る「しくみ」ができて成功です(その形は企業・組織によって異なります)。

3.BPMSが何たるかを知った

 昨年7月のコラム「BPMのゴール感とは」で書いたように、実務者がBPMSを理解していることが、とても大切です。BPMの改善ステップのステップ6(システム開発)を実務者ができるようにしましょう。とは言っていません(よく内製化やEUCの話と混同されます)。実務者がBPMSを理解できていると、自分達でどのような改善ができるか、自分達ができない自動化開発は、どのように開発者に依頼すればよいかをBPMN図を描いているときから「見通す」ことができるようになるからです。システムが実務者にとってブラックボックスでは無くなるということです。入門セミナーでは、それが理解できるようになります(具体的にはレベル2セミナーを受ける必要があります)。
入門セミナーでの具体的な声は以下です。
・BPMSについては知識がなかったため、良い機会となりました。
・BPMSというものがあるのを初めて知りました。作業効率、属人化の改善に役立つのではないかと思いました。
・BPMSのユーザー目線での操作感や、事例の話があった為、具体的な使用シーン活用方法のイメージがわいた。
・BPMNとBPMSを両方を活用することで意味があるという点に気づかされた。
・BPMSについて理解を深めることができました。特にローコード開発ツールとの違いについてご説明いただいた内容がとてもわかりやすかったです。

4.まとめ 

 冒頭で述べたように、まだまだ日本ではBPMの正しい認知が低いです。我々BPMコンソーシアムの努力が足らないのだと思います。本年(2024年)も、どのようにすれば正しいBPM理解者を増やせるかを考え抜き実行していきたいと思います。
 これは社内でBPMを導入・展開されようとしている企業・組織でも同様です。セミナーのアンケートでの課題感で圧倒的に多いのは「実務者にBPMN図を描いてもらうようにするのが難しい」ということでした。
 「忙しいのに何で業務フローなんか描かされるんだ」「システムはIT部門が勝手に作ればいいだろう」というように「余計なことをやらされている」と考えている実務者が多いと思います。BPMという手法を使って自分達の業務を自分達で改善・改革していくということを理解していただく必要があります。よって企業内・組織内で理解者を増やすことが非常に重要です。BPMコンソーシアムでは、そのために定期開催のセミナーだけではなく企業内・組織内研修(クリックしてください)の実施のご支援もしております。

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