テレワーク、BPOにおけるBPM改善のヒント3 

 BPMという手法を説明するときに「人が実施している業務を標準化をする」(人がシステムを使う部分も含め)と言います。「業務の標準化」という言葉ば聞き手によって異なることがあるようです。
ERPパッケージなどの業務システムで業務はすでに標準化されていると思っている人もいます。逆に業務システムで業務を標準化したいという顧客要望からシステム開発をした経験を持つ人は、大変な目に合い「業務システムで標準化をしてはならない。」ということを言う人もいます。
 テレワークやBPOという視点でBPMという手法を使って「業務を標準化する」というのは、具体的にどのようなことなのかを具体例で示してみたいと思います。前回のコラムでお約束した「BPMS上の画面を使った『動く業務マニュアル』を示す」ことで標準化のイメージを持っていただければと思います。

目次

1.業務の標準化とは何か
2.BPMSを使った「動く業務マニュアル」事例
3.まとめ

1.業務の標準化とは何か

 ERPパッケージなどで業務が標準化されたと考えるのは、恐らく経理担当の方ではないでしょうか。統制上、不正ができないように標準化でき、仕訳がシステムで自動作成されるからでしょう。営業担当など実務者の業務が標準化されたかというと、そうではないでしょう。
 逆に営業担当などの業務を標準化してERPパッケージなどで実現させようとするとカスタマイズだらけになります。画面の数が、とてつもなく増加してしまったり、複雑すぎて使えない画面が作成されたりします。なんとかその画面などができたとしても、内外の環境が変化すると、その画面などをすぐに修正しなければならず維持が困難になります。このような経験を持っている人は 「業務システムで業務を標準化をしてはならない。」と言っているのだと思います。
 BPMにおける標準化は、後者「業務システムで業務を標準化をしてはならない。」ことが対象になります。対象を以下の図で示します。


すなわち、この標準化はIT担当者(情報システム部門など)だけでは維持できないことです。そのための共通言語としてBPMNが必要になります。
ここは、BPM導入(改善)のステップを参照してください。BPMNを使って実務者はIT担当者に伝え、IT担当者はBPMNをすばやく実装、修正することができるようになります。余談ですが、BPMSがBPMN準拠であるべきだというのは、そのためです。共通言語となるBPMNを使っていないとIT担当者は実務者の要望を聞き取って理解し、BPMN準拠でないシステムの独自のフローに変換したり、プログラミングをしたりということになるからです。その確認工数、変換工数は小さなものではないことは、システム開発、更新に関わった経験のある人であればわかると思います。

2.BPMSを使った「動く業務マニュアル」事例

 BPMコンソーシアムで実際に使用している「セミナー準備プロセス」のフローと画面を表示します。BPMNの特徴はラベル(文字)を読めば内容を理解できることです。読んでいただければ、どのような業務か理解できると思います。
 

この最初のタスク「セミナーをHPに掲載する」と途中のタスク「セミナーの最終案内を送る」、最後のタスク「テキスト・名札などを準備する」をBPMSに実装したときの画面を以下に示します。この画面はBPMコンソーシアムで実際に使っている画面ですので、一部目隠ししています。

 

・「セミナーをHPに掲載する」画面 緑の字のところはリンクになっています。 

・「セミナーの最終案内を送る」画面 ここで設定、記入した内容がメールで自動で送信されます。メールの本文はデフォルトで設定されていてセミナーの種類によって変更します。(必要な文章を残し他を消す。)

・「テキスト・名札などを準備する」画面 準備のためのチェックリストとなります。

3.まとめ

 今回のヒントは「業務を標準化して業務の受け渡しを自動化する」というBPMの基本機能において「業務を標準化する」というレベル感を理解していただくことでした。内容を読まれてわかるようにBPMSの画面は、いわゆる業務マニュアルそのものです。この業務を知らない人でも、間違いなく業務ができるように記述されています。
すなわち、このレベルの業務マニュアルをIT担当者が聞き取って作成していたのでは管理できません(やろうと思えば可能ですが、大変な工数がかかります)。BPMSの画面は実務担当者でもメンテナンスが容易です。ビジネス知識を再利用できるように実務担当者がBPMN図と業務マニュアルを維持することが大切だということになります。(BPMとITを参照してください。)
そうすることによってノンコア業務を人に受渡すことで単価の高い人材から、単純業務を引きはがしBPOする。離れた場所にいても、いちいち指示をしなくても間違いなく業務を実施してもらえる。そして、自分のチームがバラバラの場所で業務をしていても、これらのプロセスの進捗を見ることができます。期限を設定しプロセスの途中で遅れていれば自動で警告を出し「気付く」ということもできるようになります。

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