DXって何、まずやってみましょう。

 流行語のDX(デジタル・トランスフォーメーション)は何をやればいいのか、ということを誰も教えてくれません。会社で組織名称がRPA推進室からDX推進室に変更になるなどして、どうしてよいのかわからなくなりBPMコンソーシアムのサイトに辿り着く人が増えました。私はDXのことを詳しくは知りませんし、読んでみても十数年前にBPMが説明されていたときのように、図や絵と文章の抽象論ばかりで眠たくなります。

目次
1.DXとは何か
2.イメージができない、わからない
3.「まずはやってみる」
4.まとめ

1.DXとは何か

 「ビジネス環境の変化に対応し、デジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革するとともに、業務、組織、企業文化、風土を変革し、競争の優位性を確率すること」だと経済産業省はガイドラインで定義しています。「このガイドラインに書いてある『この文言』はBPMでいうところの『コレ』だ。」などという無理やりな結び付けをするような「言葉遊び」をBPMコンソーシアムはしません。BPMは、すでに合理的で普遍的な手法であるため、流行語に左右されることがないからです。逆に、BPM(BPMSだけではない)を導入すれば、あなた達が言っているDXというものは実現するのではないでしょうか。

2.イメージができない、わからない

 BPMコンソーシアムでは「BPM入門 基礎知識+事例セミナー」で過去2年半で約150人の方に参加いただきました。抽象論を具体論にして、なるべくわかりやすくBPMをご説明をしているのですが3つのパターンの反応があります。

1.目を輝かせて「やってみたい」って言われる。
2.何で今まで普及しなかったのか。「何かあるのでは」と懐疑的。
3.イメージができない。わからない。

1のパターンは、製造メーカーなどで作業改善、業務改善の経験をお持ちの参加者が多いという印象です。直感的に理解していただけていると感じます。

2のパターンの参加者は言っている意味がわかったが、普及しなかったのには「何か致命的な欠点があるのではないか」と考え「できないのではないか」という例を探して質問をされます。セミナーの中でも過去のBPM導入の失敗事例をお話しをしていても、腑に落ちない顔をされます。IT系技術者に多いです。従来のシステム導入の考え方に囚われて、最終的に「出来上がるシステム」の姿(ソリューション?)を考えるからだと思います。業務にはソリューション(解)などというものはありません。組織経営(マネジメント)に必ず成功できる決まった方法が無いのと同じです。技術面での疑問もあるのかもしれませんが、それは全自動化を考えるからです。BPMが対象とする人の業務は全自動化できるはずがありません。
 お客様の業務を知らないIT企業やシステムベンダーが、経営(マネジメント)のソリューションを提供できるはずがありません。そのようなものがあると思っているから目的と手段が入れ替わるのだと思います。(BPMとIT参照)。

3のパターンは、業務改善もシステム導入も実施した経験がなく、今まで指示通りに仕事をしてきて、教えられてやってきたことを盲目的に正しいと信じている。または硬直した組織で、責任論から言われた通りにするしかない。という参加者だと思います。すなわち結果的に「何もしない」または「やっているフリをする」ということです。(昔、製造業で作業改善をしていたときに、トヨタでは結果が出ない改善は「改善ゴッコ」と呼ばれる。と言われ悔しい思いをしたことがあります。)「DXとは変革である」などという言葉を使って発信している経産省が「少ない予算」で小さくとも自ら変革した事例を数多く発表してほしいものです。「変革」と言っているのは政治家が指名した学者たちであって経産省職員ではないので、自らは実施しないのでしょうか。「忙しい」というのは言い訳でしかありません。忙しさを解消するためにBPMを実施するのですから。

3. 「まずはやってみる」

 松下幸之助を始め、多くの変革者も同様のことを言われています。やってみることにお金をかけないことですが、国や自治体では「実証実験」という税金の無駄遣いをしているように思います(それを消費喚起、景気刺激策というのかもしれませんが)。これは結果責任を伴わないので気楽に実施できるからではないでしょうか。先人の変革者の多くは「リスクから逃げる」のでは変革は達成できない。と言われています。「絶対に成功させるんだ。」という気概から変革は開始されます。もちろん失敗もありますが、真剣に取り組むことでの失敗は、その経験から多くのことを学ぶことができます。
 BPMコンソーシアムでは、BPMNの記述支援モデルプロセス導入支援というサービスを比較的(何と比較している?)安価に実施しています。これは「まずはやってみる」を実施していただきたいからです。(2022年7月現在、1社がモデルプロセス導入支援を開始、1社がBPMN記述支援を実施しようとされています。)

4.まとめ

 やれない理由を考えたり、リスクを回避していたのでは変革は前には進みません。過去30年間「何もしてこなかった」ことが、日本の組織を弱体化させたと思います。しかし、BPMコンソーシアムに関わる方々は、ユーザーであれ、ITシステムベンダーであれ具体的な方法論を示せば業務改善・改革経験を持っていなくともリーダーシップを発揮して進めようとされています。とてもすばらしいことで、そもそも日本人は勤勉であるということを思い出させてくれます。上に立つ経営者などの方々は、そういったリーダーに指示をして「やらせる」のではなく背中を押すだけだと思います。BPMコンソーシアムは、そのようなリーダーたちを御支援していきたいと思います。

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