BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)とは:DXで再注目されているBPMを正しく解説
BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)は、業務プロセスを可視化しPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回して業務改革・改善を行うためのマネジメント手法です。
BPMは抽象的な概念ではなく、BPMN(国際標準の業務フロー記述法:BPMNとは)とBPMS(BPMNを実行するITツール:BPMSとは)を車の両輪として行う明確な業務改善、業務改革のためのマネジメント(経営)手法です。業務フローを描いて分析するだけでは「絵に描いた餅」でしかありません。
以下の「BPMとは」の動画でBPMをわかりやすく説明をしています。
この動画では
・BPMNのPDCAサイクルでBPMNとBPMSがどのように繋がっていくのかを説明しています。
・BPMNの説明と使い方ついて説明をしています。
・BPMの改善のステップについて詳細に説明をしています。
注:必ず「BPMNとは」「BPM導入支援サービス」の動画を合わせて観てください。(青字をクリック)
YouTubeを見ることができない場合は「ここ」をクリックしてください。
目次
1.DXでBPMが求められる理由とBPMに関する誤解
2.BPMの業務プロセス改革・業務改善のPDCAサイクル
3.BPM導入のメリット:実務者中心のBPMの改善ステップで改善人材を育成
4.まとめ
5.BPM Q&A
1.DXでBPMが求められる理由とBPMに関する誤解
近年、「働き方改革」や「DX」(デジタル・トランスフォーメーション)から人の行う業務の可視化改善・可視化管理や自動化の手法、ツールが求められてきました。今、求められているのは、今までシステムが対象としなかった人の業務プロセスの標準化と改善管理の実現であり、そのためにBPMが再注目されています。過去にBPMを概念として説明されてきたためBPMに対する誤解が多く、残念ながら正しく理解されていない人が多いです。(「BPMの誤解」のまとめ参照)
この数年、DXというキーワードから「業務プロセス」では無く「作業プロセス」の自動化ツールを探し、その自動化ツールを実務者が学ぶことをリスキリングと称しているように思います。「実務者が中心となって実施する」という視点までは良いのですが「作業の自動化」を実務者が対象にするのではなく「業務プロセスの改善」を行う必要があります。従来のITが担ってきた作業の自動化部分は、近い将来AIが担うことになるでしょう。人が行うのは組織間、担当者間の業務を管理、改善することが「業務プロセス管理(BPM)」になります。
「業務プロセスの改善」は、抽象的な説明が難しく、本当に「BPMを正しく理解」するためには、研修では無く「実践」が必要になります。BPM導入支援サービス(BPMNからBPMS導入へのご支援)を参照してください。
2.BPMの業務プロセス改革・業務改善のPDCAサイクル
PLAN:業務の可視化・分析
DO:実行・統制

Check:モニタリング
Action:継続的改善
Plan:国際標準の業務フローであるBPMN(ビジネスプロセス・モデル&ノーテーション)を使用して現状分析、課題解決、改善後の姿を議論します。
Do:Planで作成した改善後のBPMN図をBPMS(ビジネスプロセスマネジメント・システムまたはスイート)に実装し、実際の業務で使います。
Check:BPMSを使用して業務を行うと、今まで見えなかった人の業務がリアルタイムで可視化されます。そのために業務の課題が見え負荷調整、課題解決などが可能になります。
Action:人が実施している業務が定量的なデータとして蓄積され分析することができるようになります。そこからさらなる課題の発見をして、Planに戻ります。
3.BPM導入のメリット:実務者中心のBPMの改善ステップで改善人材を育成

BPM導入のステップにおいて最も重要なのは、実務者が中心となって改善のPDCAサイクルを回すことです。BPMは、主にミドルマネジメントの道具です。マネージャーが自分の部下がどのような仕事をしていて、それが順調なのか、誰かの負荷だけが増えていたりしないかなどをリアルタイムで管理をすることができます。そして実務担当者とマネージャーが共に業務課題を解決していくためのマネジメントツールです。そのためのスタートは実務担当者が自分たちの業務をBPMNを使って可視化し客観的に議論をすることです。(BPM導入のステップ1~3)
次にBPMSやITツールを使用する上で曖昧な部分を明確にするためのステップとしてレベル1で書かれたBPMN図をレベル2にするという「ステップ4」があります。このステップを省き、ステップ5のBPMSの実装に入ると曖昧な例外事項についての対応や、どの機能を自動化するかなどを検討しながら実装を行うことになり、何度、作り直しても業務の標準化改善が終わらないという事態が発生します。「ステップ5」ではステップ6で実装する自動化ではなくBPMNで記述したBPMSが持つ基本機能での実装をすることで「業務の標準化」(業務の受渡の自動化などBPMSの基本機能を含む)を行います。
そしてステップ6で外部システムとの連携や複雑なデータ処理の組み込みを行い実行させます。BPMSの実装は業務を改善するためSTEP4で検討した、すべての要求が実現されるまで待つのでは無く稼働日を設定します。そのため困難で時間がかかる「作業の自動化」などは後回しになります。困難な自動化が必要かどうかは、実際にBPMSを使用した後に実績データを分析し投資対効果を確認してから判断します。「便利だから」という理由だけで、困難な自動化に費用と時間をかけてしまうことは避けるべきです。この整理が「ステップ4」でできていないと「いつまでも使えないアプリ―ケーション」となってしまいます。1つのプロセスを動かすにはステップ1~6までで3か月で行うことを目標とするのが良いでしょう。STEP6の作業の自動化では無く、STEP5までの基本機能で、まずプロセス管理を実行することが大切です。
これらを実務者中心になって行うことによって業務改革・改善人材が育成されていきます。
4.まとめ
業務プロセスの改革・改善を簡単に言うと「人が行っている業務を標準化しリアルタイムで見えるようにすること」「業務が見えることで具体的な対策がすぐに実施できること」「蓄積された業務データから課題を発見し改善し続けること」と言えます。
一般社団法人BPMコンソーシアムにおけるBPMの普及は「研修」や「セミナー」ではなく「実践」がキーワードです。研修・セミナーはキッカケに過ぎません。BPMは実践することでしか真の理解を得ることができないと言えます。過去、BPMの誤解によって多くの失敗を繰り返されてきました。「単なる業務システム開発になる」「業務プロセスの改善ではなく作業の自動化で終わる」といった失敗は「正しいBPMの実践」を理解していないことによって引き起こされます。
そのためにお勧めしているのは、1つでよいのでモデルプロセスで実際の成功事例を作ることです。(モデルプロセス導入支援参照)ここはITプロジェクトにおけるPoC(Proof of Concept: 概念実証 )とも異なります。実際に実業務を実行し改善し効果を出すことです。PoCはシステム導入プロジェクト前に「概念検証」をする。という考え方ですが「モデルプロセス導入」は、スモールスタートをするという意味です。なぜならばBPMはBPRと異なりプロジェクトではなく終わりがありません。従来の概念をぶっ壊すためにも「まず、やってみる。」ことが重要なのです。
5.BPM Q&A
Q1:KPI管理のためにBPMを導入すると説明している人がいますが、本当ですか
A1:BPMNとBPMSを導入するとKPIでの管理ができるようにはなりますが、それがBPMの目的ではありません。BPMはKPI管理の道具ではない~改革人材を育成し変化に強い企業を作る~を参照してください。
Q2:BPMN図(プロセス図、業務フロー)を描くことがBPMの目的ですか
A2:BPMN図を描いただけでは「絵に描いた餅」です。どのような改善をBPMN図に盛り込んでも、それを運用することができないからです。BPMN図通りに業務を行ってもらうことができますか。BPMN図通りに業務を実際に行っていることが見えますか。BPMN図通りに業務を行ったことが記録として残りますか。過去、業務フローを描くことで業務改善をしようとしても、維持管理ができずに業務フローと実業務が乖離していくということが起こりました。BPMN図通りに業務を行って、永続的にPDCAサイクルを回していくためにはBPMS(ITツール)が必要になります。
Q3:システム開発にBPMNを利用することは有用ですか
A3:正しく描かれたBPMN図(特にレベル1)は、その読みやすさから改善議論が活発になります。(BPMN図を描くこと自体で何か改善すべき事項が発見されるということはありません。)しかしながら、そのBPMN図はシステム開発が終わった後、2度と使われることはないでしょう。またBPMN図はBPMSのために作られた(業務プロセスを管理する)標記法です。「作業プロセスの自動化」のために使用すると「なぜそのように描くのか」が説明できない事項が発生します。そこからBPMN仕様を逸脱したデタラメなBPMN図を描きはじめます。それならば、最初からBPMN図である必要は無かったということになります。第1回:BPMN仕様違反のBPMN図例(データオブジェクト編)などを参照してください。
Q4:BPMはタスク管理をすることですか
A4:BPMSの動きを説明すると「タスク管理をするためのものではないか」と言われる人がいます。タスク管理は上司が誰かに何かをやってもらうことを手動で管理することや、本人が自分の仕事をを手動で管理するツールのことです。BPMは「プロセス管理」です。BPMN図の通りにAさんが業務が終わるとBさんに自動で受け渡され、Bさんが業務が終わると自動でCさんに受け渡され、Cさんが業務を終わらせると自動でDさんグループに受け渡され、Dさんグループの誰かがその業務を引き受けて行うと・・・というようにプロセスを管理し、そのプロセスが記録として残っていきます。BさんがBPMSの画面を使っている瞬間を見ると「タスク管理ツール」を想定される方がいますが本質が違います。例えばプロセスが後戻りしたり、停滞したりしていることも見えるようになります。なぜ後戻りしたのか。なぜ停滞してしまったのか。チェックをし、すぐに対策を打つこともできますし、事後に分析して次なる改善に繋げることもできるようになります。
Q5:BPMN図を多階層に描き、階層に意味を持たせている説明をしている人がいますが、それは正しいですか
A5:この考え方は「手段が目的化」する原因になります。「会社全体のプロセスを多階層に全部描きましょう。」ということをすると、描くだけで何年もかかってしまいます。業務プロセスは「生きもの」です。ちょっとした環境の変化、ちょっとしたミス、クレーム、トラブル、外部のルールや法律変更などがあれば、どんどん変化します。何年もかかってBPMN図を描いていたら「BPMN図を描いては修正」が繰り返され、何も改善されないのに「描くためのコスト」だけが費やされることになります。BPMはスモールスタートで1プロセス3か月で導入し稼働させ改善をスタートさせます。BPM導入支援サービス(BPMNからBPMS導入へのご支援)を参照してください。
Q6:BPMにプロセスマイニングツールや多機能な記述ツールが必要と言っている人がいますが本当ですか
A6:BPMにプロセスマイニングツールは不要です。同様に多機能な記述ツール(BPMN図から改善シミュレーションができる)なども不要です。
BPMS(BPMSとは参照)の機能を理解されれば不要であることがわかります。プロセスマイニングツールの導入や多機能なツールでシミュレーションをする時間があるのならば、BPMN図とBPMSで何プロセスも実稼働させ実改善することができます。稼働させてしまえば、どちらのツールも不要だということがわかります。BPMSがあればプロセスの稼働実績はプロセスマイニングツールよりもより詳細に分析ができるようになり、シミュレーションでは無く実際の業務データから分析ができるようになります。「BPMの誤解」のまとめを参照してください。
参考コラム
・BPMの理解を阻害する業務フローとシステムに関する固定概念
・BPMと日本型経営システム
・見える化・可視化改善とBPM
・テレワーク、BPOにおけるBPM改善のヒント1
・テレワーク、BPOにおけるBPM改善のヒント2
